大坂文庫

個人作家、上住断靱の活動記録

慰めのアイテム

 年度が変わる際に出勤簿をコピーして持って帰ってきた。恐るべきことに勤め先の出勤簿は手書きだ。だが、手書きだからこそ色々残せるものがある。
 指示があって早く出てきたのに時間外手当が出ていない日、元々はグレーであったものが完全に黒となった言質を取った日、それぞれに印がつけてある。
 前任の上司がいなくなって以降、半年を待たずして会社の労務状況は元のブラックに戻りつつあった。合理的でないことが通る。論も理もないことを押し通す。我が儘おじさんのワンダーランドであった。何かあればそれを放り込まれる私と同僚A。同僚Aは昨日半泣きになっていた。あれほど真面目に仕事をしていたのに、「もうええわ」ということも増えている。
 私は「はいはい」と受け流している。
 この出勤簿コピーが手元にあるからだ。もちろん、それだけでは意味がないけれど。来るべき日のために今は反骨心を抑え、都合の良い人間を演じるしかない。煮えくり返っても我慢だ。最後の最後で敵にしょんべんをちびらせろと堪えている。
 しかし、流石に物理的に無理という話をしているのに、「そんなもんは自己都合、これも仕事」といって押しつけるのには笑った。自己都合と言われているものも、仕事であって、自分から生み出したものじゃない。それを実行したければ、全員に仕事を割り振りし直さないと無理だよと。
 割り振っても、割り振られた人がきちんとできなくて結局戻ってくるんだが。そのスキルもどうなのと思うが、どうしようもない。出勤簿コピーはそんな私を慰め、強くしてくれるのである。