「OVER 結果と向き合う勇気」 上原浩治著
2019年、上原浩治は引退した。
シーズン途中だったこともあり、私の衝撃は大きかった。その年ばかりは投げてくれると思っていたからだ。野球が好きになってから、上原浩治は私のヒーロー選手であり、草野球では彼と同じ19番の背番号を使うほどのファンだった。
中学時代の修学旅行ではミニストラップも買った。今でも宝物だ。引退のニュースには涙せずにはいられなかったほどである。
さて引退直後に出た本書だが、読み終えるまでにかなり時間がかかった。発売してから何年経っとんねんという話だ。別に読みにくい本というわけではない。
読み終えると「私の中の上原浩治が終わってしまう」という気持ちが出てきてしまったからだ。その気持ちが本を何度も閉じさせた。
野球を引退したからといって、彼の存在が消えるわけではなく、彼の人生も続いていく。当たり前のことだ。普通にYouTubeやっもいる。しかし、私のヒーローのあり方が変わるというのは、中々受け止めにくいものだった。
ところが、私に思わぬ病気療養期間ができて、本書に集中することが出来た。
「人間何が起こるか分からない。読める内に読んで、次へ進もう」
練習の姿勢や考え方、引退までの経緯が前半には綴られている。
後半はテンポ良く、「結果と向き合うこと」について語られている。
かなり時間はかかったけれど、私はようやく上原浩治の引退を受け止めたのである。