翠嶺クラフティング

個人作家、上住断靱の活動記録

生還報告

 急なことで生まれて初めての入院を経験した。長くなるのでそれらはまた書くこととして、結果は二週間以上、会社を休むことになった。向こうは大変だったと思うが、こちらもこちらで大変だった。「いざという時のために」用意していたマニュアルは想定を通り越していて、活躍できなかっただろう。そちらは考えないことにした。もうただ医療機関に身を委ねる他、できることは何もなかった。
 対して、私が大変になった時、すぐにそれらを対応してスケジュールを組んだ某組織に関しては勤め先よりしっかりしている。日頃の意識の差なのか、それぞれに持っている能力の差なのか……。
 入院自体は一週間と少し。
 己の中の考えが劇的に変わったかと言われたらそうでもないが、今後の方針も流石に変わった。一つの契機になったことは間違いない。静養しながら準備を進めていく。
 入院の中でもかなり特殊な経験をしてきた私は、あの特殊な生活環境からの脱却と、後遺症が治まるのを待っている。
「もう戻ってこないように気をつけてくださいね」
 看護師さんの苦笑が浮かぶ。
 私も苦笑する。
 流石にあの経験はもうしたくない。確率としてはゼロじゃないけれど。