大坂文庫

個人作家、上住断靱の活動記録

30分「は」休め

かつて一緒の店で働いた上司が休職している。彼は以前にも精神的に参ってしまい、数年ぶり何度目かという甲子園のような休職だが、一度病むとどうにも出来ないことは私も分かっており、心配している。
その上司と働いていた時は、体重が10キロ落ちていた時で社会人二年目の一番酷い時であった。どうにか色々とフォローしてくれたが、既に発病済である彼は今思えば気分の浮き沈みが激しい人だった。
そんな上司が私に一言、「昼休みは30分は絶対休め」と言ってくれた。
「その間は仕事のことは一切考えず、ゆっくり過ごせ。俺がしてやれるのはこれぐらいだけや」
当時、私は弁当を作っていたので、食べて10分。すぐに職場に戻っていた。他の人もそうしていたので特に問題は感じていなかったが、上司の言葉に従い、30分休んでいた。弁当をゆっくり食べて15分、後は葉巻を飲んで15分過ごしていた。
今は真っ白なクロスに張り替えられて、禁煙になった会議室の換気扇の下、ぼんやりと口を開けて煙を吐いていた。本でも読めば良かったのだが、そんな余裕はなかった。私の葉巻は噂になって、「変人」呼ばわりの理由になったが、私の煙草は嗜好品。それに30分を過ごすには丁度良いアイテムだった。
正に狂っている職場だ。その数年後、私も休職する身になった。職場の体質はそれほど変わっていないが、私は変わった。煙草ももう吸っていない。
新年度、新社会人に言いたいことを言う人がおり、それを否定する人もおり、どちらの気持ちも分かるが、所詮相手は他人だ。
私が公に言うことは何もない。ないけれど、配属前の新入社員に教育した私は、彼らには最低限の話をした。
一連の様子を見ながらふと、30分「は」休めという話を思い出したのである。