新しい椅子の快適さに酔いしれながら、廃品のシールを貼られ、捨てられるのを待っていた古い椅子。予約が取れる日が離れていたため、大きなゴミと暫く一緒に過ごしたのだ。
私の作業場は2DKのDK部分にあるので、古い椅子は四畳半の寝室に押し込んでいた。入口はやつで埋まった。
中々に邪魔であった。
起床時に誤って蹴ってしまったら隣室まで響いてしまう。出入りは慎重にせざるをえなくなり、面倒な一週間だった。
それを昨日の夜、出してきた。
多少ボロボロになっていたけれども、まだまだ使えたとは思う。西成に置いていたら誰かが持っていったであろう。
所定の場所に出し、振り返る。
付き合いとしてはそう長くはない椅子であったが、なんとなく哀愁を漂わせていた。
帰宅してゴミ捨て場をチラリと見ると無事に回収されたようであった。
実家を出てから初めての廃品ミッションは滞りなくコンプリートできた。
何となく、寂しい気持ちになったけれども、ろくに座りもせず通販で買って失敗した椅子である。なんだろう。それでもそんな気持ちになる。春だからか。