嫌いなもの
連日の酷暑に休日の引きこもりが加速する。
勤め先では外出の用事があるから引きこもってもいられない。
上がってくるのは「~の~がコロナになって、濃厚接触者ではないのですが……」という話。気軽に相談できる体制はいいが、その度に地獄を見る人間がいる。
私だ。
何かある度に用事ついでにPCR検査キットを買いに行かされるのだ。大量に。先日は外出途中で急に指示が出た。財布にお金がないにも関わらず、預金を引き下ろして立替せねばならなかった。
嵩張って持って帰るのも中々にしんどい。
自動精算機に吸い込まれていく万券を死んだ目で見つめながら、「なんてボロい商売なんだろう」と心中の嘆息。一先ずの安心は3,000円と安いのか、高いのか。よく分からないが、しんどくなってタクシーに乗った。
会社までの運賃は3,000円で、偶然にも自分のしんどさと検査キットの一個が同じ値段。変な気分だった。
そんなこんなでお陰でこいつをとても憎らしく思うようになってしまった。どれぐらい憎いかといえば、今更検査を推してくる議員を畜生に思うくらいに。
不満が爆発して酒を飲んでいると「企業都合で採用活動中止にします。ごめりんこ☆」というメールが。
この一週間、面接の時間を確保しようと動いていたことが無駄になった。
「あーもー。いいですよー。自分でやれってことですねー」
それでも明日は来るから、ふてくされてもいられない。