手術室に向かう母の足取りはよたよたとしている。珍しく緊張しているようだ。父は頻りに「頑張って」と声をかける。私は物書きなのに、気の利いた言葉が見つからず黙って母を見送っていた。しかし、そこは母である。突如として振り向き、無言で手を振った。…
引用をストックしました
引用するにはまずログインしてください
引用をストックできませんでした。再度お試しください
限定公開記事のため引用できません。