大坂文庫

個人作家、上住断靱の活動記録

ふぐ

年に一回は大学時代の友人たちと新年会と称して河豚を食べるようにしている。寒いときのてっちりは旨いもので、職場でも大方の人間が「ふぐを食べに行く」と聞けばうらやましがるほどだ。ひねくれた私でもふぐに行くのは「いいな」と思うほどである。
そうした一年に一回の楽しみに行ったものだが、食が細くなったり、酒に弱くなっていたりで、それほどの量を楽しむことができなかった。来年からはてっさだけ食べようという話をした。
我々の臨席にはサラリーマンが二人いて、一人が延々と武勇伝を語っていた。向かい側に座っている男は強面でひれ酒ばかり飲んでいたが、黙々と武勇伝を聞いていて中々に人間ができた人だなと思った。
他には赤いスカートに網タイツの女と既にベロベロの二人組。ひたすらスマホの動画を見ている息子と無愛想にメニューを見る母のアジア系外国人の二人組だった。
いつも使っている店が満席で道頓堀のほうまで足を伸ばしたのだが、数百メートル移動するだけでこれだけ客層が違うのかと驚いた。客のほとんどが外国人観光客で、この賑わいも彼らがいなければどうなるのだろうかと少し思った。