大坂文庫

個人作家、上住断靱の活動記録

神経ツンツン

 急がば回れは正しいらしく、安易に歯医者を変えたおかげでまた歯医者を変えることになった。行った先が下手くそだったからである。
 つい数ヶ月前に治療した三本のうち、最初の一本が酷く痛んだ。
 その痛みたるや今まで経験したことがないもので、あまりの痛みに言葉が出ず、ぼろぼろと涙が出たほどである。因みにこの状態に職場でなった。直ぐさま、職場で新しい歯医者を紹介して貰い、駆け込んだ。
 そこで「神経が生きているか死んでいるか分からないので、麻酔なしでゆっくり削って、神経を確認しますね」と身震いするような言葉を受ける。あのドリルがちょっとでも生きている神経に触れたら、とんでもない痛みが走るにちがいない。しかも今回は初めての歯科医だ。腕に自信はあるだろうが、こっちに確信はない。
 私は目をぎゅっと瞑り、しかし、体に力が入りすぎないように手は開いたままで、削り終えるのを待った。
 結果として、手前の神経は死んでいた。が、奥は生きていて、歯科医が確認のためにツンツンする度に呻かなければならなかった。
 なぜか「おでんツンツン」動画を思い出していた。
 現実逃避ともいえよう。「おでんツンツーン」ならぬ「神経ツンツーン」と頭で思っていると、この状況が少しでも愉快に思えた。
 さて、この歯医者は混んでいて次の予約が中々取れない。そうこうしている内に二本目の歯にも違和感が出てきた。またも麻酔なし治療を受けるのかと思うと、最初から近場を選ばずイイ歯医者にしておけばよかったと嘆息している今である。