大坂文庫

個人作家、上住断靱の活動記録

若きウェルテルの悩み

かつて「帰宅したら弟がニート」という作品を書いた時に、母から言われたことがある。実のところこの小説は三割ほど実体験であった。それまで、私が体験したことを書いていない私は些か躊躇したのだが、母から「若きウェルテルの悩みのようやん。怒りのままに書いたら?良い物が出来る場合もあるし」との適当な発言を真に受けて書き上げた。
結果、怒りのまま書き上げられることはなかったが、私の門出作品として大きな存在となる作品になった。
今日、書くのはこの作品で起こった逆のことである。
先日、「私で役に立てることがあったら言って下さい」という言葉を頂いた。この言葉は非常にありがたい。何より自分のことを信用してくれている証であり、言った本人が人は一人で出来ることは限られているということを分かっている人物だという証明であり、言われた私も信用することができる。
誰しも駄目な部分があり、素晴らしいものを持っている。
それを押しつけ合わない心を私は大事に思っている。
「帰宅したら弟がニート」では、見事に寄りかかりの話であった。あの作品があることで私はいつも立ち返ることができる。
人は身勝手だ。
しかし、身勝手を出し合って助け合えることもある。但し人は限られる、と。
実際の「ウェルテルの悩み」はもっと純粋で盲目な作品である。