大坂文庫

個人作家、上住断靱の活動記録

いくたまさん

織田作の実家近くに住んで七年経つというのに、今まで生玉祭に行ったことがなかった。大阪は谷町界隈に住む人間はこの日の為に普段使わない歩道橋を上り下りする。
今年は嫁を迎えたので連れ出し、祭りへと繰り出した。
祭りを楽しむ人を横目に織田作像は静かに佇む。
織田作の写真を撮っている私を横に孫を連れたおじいさんがベンチに腰をかけた。
「ここは写真を撮るところ?」
孫が問う。
「あぁ、そうや」
おじいさんは適当に答えた。
「なんで、写真撮らないの?」
「まず休憩や」
織田作の像は老人と幼女に目もくれず、私のカメラにも視線を向けることなく、祭りの騒ぎを聞きながら、静かに無頼派を今に伝えている。
余談ながら、この写真を撮る私にカメラを向ける嫁がおり、織田作に見られずとも私は十分なのであった。帰りにベビーカステラを50個買って今も食っている。

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