大坂文庫

個人作家、上住断靱の活動記録

灰皿掃除

勤め先の代表者による年頭挨拶は政策に期待しながらそれに応えていくというものであった。
あとは「気合」の二文字で要約できる簡単なものである。
いわば責任を国のせいにして、動くのは自分より下の人間で「俺は知らん」ということだ。居酒屋でくだを巻く一般的なおじさんと何ら変わら
ない、そこに自分が立っていない挨拶である。それを年頭でするのも、させてしまう側近達も中々見上げた人たちで面白い。
ところが年頭だけに留まらず会社の運営まで「余所がやったから」と後手後手に回る事が多い。
挑戦がない。
退屈なのである。
その退屈を拭う事が出来ないのである。退屈を払拭するべく、乾燥した部屋で口だけを動かしている。その様は魚類にも劣る。
喫煙室の灰皿掃除を誰かがやっていても気にも止めない。当たり前の事だと思っている。しかし当たり前なぞないのである。金利がマイナスになってしまう時代である。自分だけが確かで自分で立つしかないのに、こんもりと山になった灰を誰もが黙って無視をした。
私の灰皿掃除は善意であって職階が下であるからではない。
それをいえば、新入社員がやるべき事である。
私は煙草を吸うからそれの後始末をするだけの事だ。何ら立派な事ではない。その証拠に風邪をひいて煙草を吸えない間は一切掃除などしてい ない。
「しょうもない」
灰皿に突き刺さった様々な種類の煙草にそう冷笑した。